介護事業は儲からないと言われ続けてきましたが、介護施設の種類によって利益率が大きく異なる現状があります。
この記事では、介護施設の一つである老人ホームにスポットを当て、利益率と今後の展望について説明していきます。
老人ホームの利益率は他産業より低い
老人ホームを含む介護事業の利益率は、厚生労働省が発表しています。
2022年度のデータによると平均2.4%でした。
他産業は4~6%程度で推移している現実を見ると、かなり低い数値であることがわかります。
これが介護事業は儲からないと言われる最大の理由です。
特に近年は状況がさらに厳しくなりつつあり、経営を圧迫しているのが物価高や人件費増加の影響です。
モノとサービスの値段は上昇していますが、それを施設の運営費にすべて反映させることが難しく、それが利益率の低下につながっています。
施設側としては、利用料を上げつつ利益率を向上させたいところですが、利用者の支払能力には限界があります。
利用料を引き上げて利用者が減少すれば、さらに利益率を下げるという悪循環に陥りかねません。
そのため、施設側は容易には利用料を上げられない実態があります。
参考サイト
令和4年度介護事業経営概況調査結果の概要(案) | 厚生労働省
介護サービスにおける老人ホームの利益率
老人ホームは一般的に特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)を指します。
介護老人保健施設と違って入居期間に制限はなく、終身まで利用可能です。
また、介護スタッフによる支援を受けられるのも特徴です。
利用者にとって非常に便利な施設ですが、実は介護施設の中でも最も利益率が低く、令和4年度においては-1.0%と赤字になっています。
令和3年度は1.2%だったことから、1年で2.2%も減少したことがわかります。
居宅型介護サービスの利益率
施設型の老人ホームに対して、高い利益率を実現しているのが居宅サービスです。
これは、自分の家で生活しながら、介護サービスを受けられるものです。
たとえば、訪問介護の利益率は安定しており、令和3年度は5.8%。
さらに、令和4年度は2.0%増加の7.8%と上昇しています。
訪問リハビリテーションにおいては、令和3年度は-0.4%でしたが、令和4年度は9.1%にまで急激に上がっています。
このように、赤字運営からたった1年で黒字運営に転換するサービスもあるのです。
そのため、事業者は現状の利益率に加えて将来性も考慮して、事業展開するべき介護施設の種別を選定していく必要があるでしょう。
老人ホームの利益率を上げるためにやるべきこと
公的施設の老人ホームの場合、利用料金が安く抑えられているため、事業者は高い利益を出すことが困難です。
そこで注目されているのが有料老人ホームです。
こちらは事業者の工夫や努力によって、利益率を大きく高められます。
そこでポイントになるのが、施設の稼働率をいかにして高めるかです。
そのためにはマーケティングの最適化が重要になります。
また、独自サービスを導入し、他施設との区別化を図ることで利用者を呼び込む手法も鉄板です。
明確な付加価値を感じれば、利用料が高額でも契約を希望する利用者が現れるでしょう。
さらに、介護スタッフの人件費を抑えることも重要です。
そのためには、ICTの導入が効果的です。
これは情報通信技術のことで、利用者の24時間監視、音声ツールによる事務作業の軽減、ケアプラン作成サポートなどで業務を最適化させます。
それにより、ムダな作業を最小限に抑え、結果として人件費の節約、施設の利益率向上につなげられるのです。
まとめ
公的な老人ホームの利益率はマイナスに転じていますが、一方で居宅サービスは高い利益率を期待できます。
また、有料老人ホームは事業者の裁量によって、利益率を大幅に上げることも可能です。
これから老人ホーム事業への参入を考えている方は、現状に加えて将来の利益率もシミュレーションし、そのうえで参入するべきサービスを見極めていく必要があるでしょう。
以上、老人ホームの利益率についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
